note
2021.12.15 / diary

幼い頃から
夏休み冬休みの度に訪れていた祖母の家。

アルプスの山々に囲まれ、
朝と夜には雲海が広がり、
森からは美味しい湧き水が流れてくる美しい場所。

十数年前に祖母が他界してから、

“誰かここを
引き継いでくれる人はいないだろうか…”

と、思いながらも
放置されたままになっていて、
ずっと心を痛めていました。

ものたちを片付け、
一つ一つ時代を遡ってゆくように剥がしてゆくと、

ここで
祖母と一緒に
見送ってきた時代たち、
見守ってきた人々や風景たちが、
“時の模様”となって柱や梁に宿り、姿を現してきます。


一度は朽ち果てようとしていた
これらの木々たち。
土に還ってゆくのならば、
それも巡りの一つだけれども、

今回は、
職人さんたちの手によって
また新たに命を吹き込まれ、
未来へと繋がってゆきます。

移築のための解体には
特別な技術と知恵が必要となります。
今回の私たちの思いに共感し、
大切な体と時間を使って
山奥で作業をしてくれているみなさん、
流れを導いてくださっているみなさんに
心から感謝です。

今ではなかなか出会えない曲がった形や色の木々たちが、
どのような姿となって
生まれ変わってゆくのか、とても楽しみです。