八ヶ岳の森に白い静寂が訪れた頃、『Grain』の録音がはじまりました。
木々の間や 風の裾からこぼれた音たちは、
森の中で遊ぶことなく
シンと雪の中へ吸い込まれてゆきます。
そこは冬がくれた”期間限定のスタジオ”。
窓を通り抜ける美しさも寒さも…
音色の中にそっと 染み込んでゆくようでした。
音とともに
そこに在る風景をも記録してくださったように感じます。
ひとつひとつの曲に いのちを与えてくださったのは田辺玄さん。
どの瞬間も かけがえのないものでした。
日々に映るもの 唄に映るものを
内藤亜希子さんに描き下ろしてもらいました。
デザインは土屋誠さん。
出会った瞬間に 心に焼きつくようなその世界が
この作品を”特別な何か”に変えてくれたように思います。
初盤限定で「あなたの庭へ 小さな贈り物を」差し上げております。
(ごめんなさい、こちらは終了いたしました。)
ガーデナーの平井一樹くんに
八ヶ岳の野草の種を調合してもらいました。
“種を蒔く”手のひらからは いつも、
ちいさな希望も一緒にこぼれているように思うのです。
弾き語りをはじめた時は、
こんな風にアルバムをつくって みなさんにお届けできる日が来るなんて
想像もしていませんでした。
時も、出会いも、気持ちも、
なんだか色んなことがぎゅっと集まって、気がついたら動き出していました。
製作に関わってくださった方々のときめくような輝きや
支えてくれた家族や友人のあったかい優しさが
ずっとわたしの道を照らしてくれました。
ありがとう。
そして『Grain』を手にとってくださったみなさん、
こうして わたしの中に授かったものが 誰かのもとへ届いてゆくこと、
時に、笑顔や それはそれはきれいな涙がわたしのもとへ還ってくること、
この”巡ってゆく”という感覚は
なんてしあわせなんだろうと、いつも思います。
これからも
唄と、唄う里花を、
心地よい場所からあたたかく見守っていただけたら嬉しいです。
『Grain』に寄せて 里花